竹島 Blog 11/創造の自由

NHK「旅するフランス語」シリーズが好きでよく見るのですが、先日第16(731())の録を見ていて、旅人である常盤貴子さんがパリのオペラ・バスティーユL'Opéra de la Bastille)を訪問する回がありました。

 

このオペラ座は私も過去に一度だけ公演を見に行ったことがあるのですが、2700席以上もある近代的で広大な施設です。パリの街の象徴であるオペラ・ガルニエはいまだ美しく存在し続けておりますが、1989年以降このバスティーユにオペラ公演は移行し、ガルニエでの公演は一時幕を閉じました。施設が古くなったために音響設備が追い付かないようで現在はバレエやオーケストラを中心に公演しているとのことですが、今でもオペラ公演があるという情報もあるのでこれについては定かではありません。

 

さてこの回では、オペラ座の舞台についてではなく、裏方の製作サイドのことが紹介されていました。施設全体の中でオペラの舞台の大きさなど殆ど目立つ物ではなく、この施設のほとんどがセットを造るスタジオや工房なんですね。この中で今回特に注目されたのは、衣装工房。20名以上のスタッフの方々が働いていて、一年以上も先の舞台衣装を作っているとのことでした。工房内には衣装が所狭しと並んでおり、舞台1作品につき、数百着の衣装が製作されるようです。スタッフの机の上にはデザイン画があり、誰が着用する、ということも記されていました。キャストの体のサイズを測った上でそれに合わせて正確に役のイメージを作り上げていくのでしょうね。

 

工房の中で若い女性スタッフがチュニックに合わせるベルトの飾りつけをしていました。ゴールドの布地に刺繍のようなことをしていたようです。

そこで常盤貴子さんがそのスタッフに「デザインはあらかじめ、決まっているの?それともあなたのオリジナルでやっているの?」という質問をしました。彼女は「何をするかは決まっていて、見本もある。」と答えました。しかしそこで「作り手のセンスを盛り込む“創作の自由”もある。」と付け加えました。

 

私はこの何気ない一言にうわ~っと嬉しくなりました。なぜこの工房の人々は仕事に熱中して生き生きと働いているのか、と思って見ておりましたが、確かに生産ラインは役割分担されていて、デザイナーが一番強いのでしょうけど、製作スタッフにも自分の創造性を入れる余地が残されている、つまり工夫の自由が許されている、という点がこの工房が上手く回っている理由なんだな、と気づいてしまったんですね。

 

他人が決めたデザインを単に起こすだけの縫製など、きっと細かいだけの単純労働になってしまうのでしょうけど、そこに自分の工夫をプラスする自由が許されている、という点が素晴らしいと感じてしまいました。仕事をする人間に、個人のオリジナル性発揮の場を作ってあげることは労働意欲を掻き立てる上で重要だと常々感じておりましたが、それがこの工房内で垣間見えたように感じて、このたった一言に地味に感動してしまったんですね。

 

私が当院の運営の中で一番感謝すべきだと感じるのは、施術においても、その他の業務においてもこの「創造の自由」を認めてくれることです。経営者の山田先生、院長朝倉先生はうるさいことを言わず、静観の立場を取られます。規則で縛らず、仕事に工夫の自由を与えてくれることは個人としてのやる気がどこまでも引き出されてきますね。公務員時代ももちろん業務を工夫することは許されていましたが組織の規模が大きかったために規則に雁字搦めで自由など殆どなく、そういう意味では現在の方が考えたことが形になりやすく動きやすいですね。

 

従って私の頭の中は、院と患者様のために次は何をしようか、というプラス思考が次々沸いてくるので、皆さんにとって良い道は何なのかを常に考えていることになります。

たとえ結果がマイナスになっても、無駄とは考えません。マイナスになる、という結果を得られたことも次のステップに移るための大事な要素だからです。一番よくないのは、結果を得ようとする努力をせず、放置すること、他人を批判することですね。

 

いろいろ困難な面はありますが、物事をプラスに転化していくために、創っていく自由が与えられていることに深く感謝して、今後も工夫し続ける精神を忘れずやっていきたいと思います。

 

 

ナチュラルケア水道橋外来センター

文:竹島