竹島 Blog 8/一人当直、で鍛えられたこと

 

昨日は、永田先生が先に帰り、院長も用があるからと先に帰り、一人ぽつんと職場に残された時に昔の職場のことを思い出していました。

公務員をしていた頃の話で20年以上も前の話です。当時19歳だった私は部隊実習員をしておりましたが、当直日には一人で当直をしなくてはならない部署にいました。一人当直となると実習員であっても、一般の先輩方と同じ内容の仕事をする必要性がありました。

当時は厚木基地の管制塔にある写真室で勤務していましたが、夕方になると、航空機の搭乗員が一日のミッションの中で撮影されたフィルムを持ってやってきます。現在と違ってまだアナログ処理の時代でしたので、モノクロの一般のフィルムが使われていました。ブローニーと呼ばれる35mmフィルムよりかなり大きい中判カメラ用フィルム(120フィルム、220フィルム)ですが、それを深夜までに処理するという内容です。

搭乗員の撮影データも重要で、天候とカメラの絞り値とシャッタースピードで、だいたい何分くらいの現像時間がかかると予想して現像室に入らなくてはいけませんでした。現像室に入ってからは暗緑色のセーフティライトのみが頼りで、もしも逆光で撮影されていたり、ひどく暗い露光の中で撮影されたフィルムの場合、セーフティライトで何回見ても、画像が浮かんでこない場合もありました。この場合、心理的にかなり焦ります。現像液に何分つけても画像が出てこないと、自分の目がおかしいのか、撮影の仕方が悪いのか、真っ暗な暗室の中で判断に苦しんだことが何回もあります。

 

その頃はよく先輩に言われていましたが、「このフィルム1本撮るのに国家予算いくら使ってるのかわかってるのか。」つまり、現像に失敗は許されない、という意味でした。

さらに処理スピードも重要であり、受け取ってから最初の処理を完成させるまでに2時間が目安。ポジ処理を終わらせるまでにさらに数時間かかりました。ですので、ネガフィルムの迅速処理をするためにリールという金具も省略して使わないやり方をしていたものですから、失敗した場合、現像ムラが起きたり、フィルムに傷が入ったりします。一度に3~4本のフィルムを同時に現像する場合もあって、慣れていないとフィルムを壊してしまう可能性もあり、処理スピードと、正確性の中でいつも緊張してやっていました。何回処理しても事故のリスクは同じです。しかも作業がたいへんでも現場の先輩方は特に手伝ってはくれない空気でした。いじわるという意味ではなく、皆がプロだったために個人個人が自分の当直の時は一人で仕事をする、という空気でした。

とにかく、たかがフィルム。されどフィルム。写っている内容が内容だったので、されどフィルムだったのです。

 

一度、私の後輩がこの現像処理に失敗した際に、上司は、群司令まで頭を下げにいったのを覚えています。つまり私の上司はさらに4階級上の上司に直接誤りにいかなくてはいけない内容の仕事だった、ということなんですね。

そして、この「されどフィルム」の精神が今の私の仕事の基礎になっている部分があります。

仕事とは基本的に一人なので誰にも頼れない、弱みを見せれない、技術不足を言い訳にできない、一人前の先輩方と同じ仕事をしなくてはいけない、不測の事態にも対応しなくてはいけない、状況。毎度後がない、んですね。だから、たかだか写真業務、他人の目から見れば誰でもやっているし、できるだろうと思われる仕事でも、そういうものではない。この苦労した業務経験こそが現在の私の仕事に向き合う精神を造ってきた思います。

他人から見てなんてことない内容でも自分にとって生命線をかけてやらなくてはいけないことがあります。

大げさと思われるかもしれませんが今の業務でもある意味同じなんですね。1時間という単位時間に自分ができることをどれだけ出せるのか、は勝負です。患者様が毎回来てくれる、と私は考えていません。1回1回が重要です。患者様は貴重なお時間と施術費を割いて来てくださるわけですから、来てくださった患者様には損はさせたくない、何か健康をプラスしてあげたい、毎回そう考えながら施術しております。

 

常に患者様の健康の一助となる何かを見つけていきたい、その工夫の連続で毎日が回っております。

 

ナチュラルケア水道橋外来センター

文:竹島