竹島 Blog 5/問診時の「聴く力」とは

以前にテレビで放映されていたのですが、ミュージカル『アニー』のオーディション会場での、子役の子たちの様子が印象的だったのでよく思い出します。数千人の中、第1次試験、2次試験と勝ち抜いてき子たちが、最終選考の場で、それぞれにセリフを渡され、それを自分たちなりに理解して、演じます。

最終試験方法は、試験管側が相手役を用意して、それぞれの子役の子にセリフを言わせますが、相手役とのセリフの掛け合いを見るやり方でした。どこの子も自分の情熱、人生をかけてセリフを言い、自分を表現していました。

そして結果は二人のアニーが合格することとなりますが、この際の判定基準が紹介され、「なるほど」と思いました。要は、「セリフが上手い子」ではなく、「相手のセリフをよく聴いて、自分のセリフを言えているか」がポイントだったのです。合格した曙には、周りの方々と一緒に舞台を作っていくことになりますから、相手を受け止めてそこにどう自分の演技を足していくか、が勝負になっていく、ということなんでしょうね。これは誰も教えてくれることではないので、合格するためには才能と運が必要とされたのではないかと思います。また合格しなかった子も、このような価値観を勉強できたことは、一生の宝となったでしょう。

私たちは、最初の問診時に患者様からお話を聞きますが、まさに「聴く力」が必要だな、といつも思います。

私が気を付けていることは、初回まずは患者様の感情の受け止めに終始し、そして患者様はどんなタイプの方で何を望んでいるか、だけをひたすら探ります。そして自分のポジションは相手が望むポジションに置きます。つまり、先生らしい意見が欲しそうなら、そのように。単なるその辺の整体師の扱いなら、自分を落としすぎないで一般的見地から意見を言います。他に友達的な感じを望まれるか、気さくに話をして欲しいのか、何も話したくないのか等、細々ありますが、まずはなるべく相手に合わせるように努めます。

これは決してご機嫌伺いではありません。細かく聞けばいいと思って、ここをよく間違っている人は多いですが、同じ会話を繰り返していないか、相手との会話が滑っていないか、などはよく感じ取った方がいいかと思います。これは患者様のより多くのお悩みを聞き出すための方法です。

 

そして問診が終わって、検査をしながら細々ご説明していきますが、ここからが「掛け合い」に入っていきます。相手がどういった説明を望んでいるかを会話をしながら探ります。

事実をどう表現して、相手の治療に対する理解が得られるか、相手の心に「治療が必要だ」ということを染み込ませることができるかが焦点になります。専門知識はもちろん必要ですが、しかし他に重要なポイントがあります。専門知識をちょっとした言い回しで工夫する、また同じことでも角度を変えていうことで相手への染み込み方が変わってきます。

ですから相手の反応に対し繊細なセンサーを持たなくてはいけません。相手の言葉だけでなく表情、皮膚や目の動きなど非言語的なことから得られる情報は大きいです。言葉にならない声を聴くことは必要ですね。そしてDr.側は落ち着いた態度、聞きやすい声の調子に努め、患者様に良くなり様な予感を与える雰囲気も大切です。「患者様がこの先生と一緒なら、良くなりそう。」また、そこまでいかなくても「治療が楽しい。」「体の仕組みを知ることができて楽しい。」などなんでも相手が明るくなる要素を盛り込むようにすればいいのです。

私は「あいうえお」しか言いません。基本的な関節と重要な筋肉の説明しかしません。大きなものを変えると患者様の実感度が高く、細かな体の修正は体がひとりでにしてくれます。(もちろん重いケースもあるし、様々な場合があるので一概にはいえませんが。)

そして、自分の治療の特殊性などは施術の後半から静かに出していきます。相手を見てから自分を少しづつ出していきます。「自分はこんな治療をする」ということは後からでいいのです。カウンセリング療法でもよく出て参りますが、悩んでいる方にはまず「受容」と「理解」で十分なのです。ここが重要であり、間違っては上手くいきません。

以上。まだ修行の身であり、僭越ながら。自分の「隠し味」の部分を出してみました。
様々な治療家がいて、それぞれに重要だということが違うので何ともいえませんが、「・・へぇ。」と思って見てくれる方がいれば幸いです。

 

ナチュラルケア水道橋外来センター

文:竹島